ダンスフロア

サリバン
あなたが関係しているのは分かっているのよ！

ウルスラ
嗅ぎまわるのは結構だけど、節度は守ってもらわないとね、刑事さん。

サリバン
それは脅迫のつもりかしら！？

マディー
ちょっと！いったい何の騒ぎ！？

執事
こちらの刑事殿が、我々の承諾も取らずに家宅捜索を行っていたんです！

マディー
それ本当なの？

サリバン
ドアが開けっぱなしになっていたからね。

執事
デタラメは通用しませんぞ…

マディー
令状もないのに勝手に家に入るなんて、一体何を考えているのよ！

サリバン
お言葉を返すようだけど、法律を破っているのはどちらの方かしら？

サリバン
これは誰がどう見ても違法カジノよ。私の摘発実績を見せましょうか？

サリバン
悪党はお縄につく運命なのよ。

マディー
サリバンさん、令状がないなら早くここから出て行ってください。

サリバン
心配しないで。令状ならちゃんとここにあるから。

サリバン
おかしいわね。初めて会ったときはそんなこと聞いてこなかったのに、何か都合でも悪くなったのかしら？

サリバン
やっぱり叩けばホコリは出てくるのよね、犯罪者って。

マディー
私たちは犯罪者なんかじゃないわ！

サリバン
別にあなたたちを犯罪者だと断定してるわけじゃないわ。

サリバン
疑わしきは罰せずって言うじゃない？

サリバン
でもこれだけ裏が取れれば、罪を暴くのは難しくないはずよ。

サリバン
特にこの2つ目の金の時計は、とても興味深いわ。ボールトンさんもそう思いませんか？

マディー
2つ目の時計！？

サリバン
あら、もしかして実の孫にも言ってなかったの？いつでも切り捨てる準備はできてるってことね。あなたも本当に残酷な人だわ…

ウルスラ
刑事さん、そろそろお帰りいただけないかしら？令状がないんだったらね。

サリバン
そうね、でもまたすぐにお会いしましょう。今度は同僚も紹介させてもらうわ。

サリバン
そしていつの日か必ず…

マディー
おばあちゃん、さっきサリバンさんが言ってた2つ目の時計って何のことなの？

ウルスラ
ウィンストン、出入口に鍵がかかっていることを確認してもらえるかい？窓も扉も全部ね。

ウルスラ
ついでに、怪しいものはないか敷地全体を見て回ってちょうだい。電話機に盗聴器が仕掛けられててもおかしくないから。あの女、いつからここにいたか分かったもんじゃないわ…

執事
かしこまりました。

マディー
おばあちゃん！何を隠してるのか教えてよ！

ウルスラ
すまないね、マディー…できればお前のことは巻き込みたくなかったんだけど…

ウルスラ
でも分かったわ…ここだと危険だから2時間後に墓地に来なさい。そこですべてを話すわ。

マディー
ほ、ほんとに？

ウルスラ
ついに事実を伝える時が来てしまったようだね…

マディー
小さな部屋が紙吹雪で埋めつくされてるわ…

マディー
足の踏み場もないじゃない！

マディー
ここはダンスフロアだったのかしら…？

マディー
きっと盛大なパーティーが開かれていたのね。

マディー
でも何をお祝いしてたんだろう？

マディー
この箱、変わったものばかり入ってる…

マディー
ま、ボールトン邸なんだから当たり前よね。

マディー
…あれ？よく見たらイニシャルが彫られてるわ！「W+L」って書いてあるけど…筆跡が通用口のブランコの文字と同じみたい！

マディー
いくらなんでも紙吹雪の量が多すぎない？

マディー
新年会か何かかしら…

マディー
かわいい！昔から好きなのよね、ハート形の風船って。

マディー
ちょっと待って、何か書いてあるわ…

マディー
「ライオンハート」？

マディー
約束の時間になったけど、一体どんな話を聞かせてくれるんだろう…

—墓地に移動—

マディー
おばあちゃん、この場所じゃなきゃだめだったの？

ウルスラ
マディー、いいからよく聞きな。実はさっき押収されたあの金の時計はね…

ウルスラ
偽物なのさ。巧妙に作られたレプリカだよ。

マディー
に、偽物？

ウルスラ
お前が見つけた方の時計が本物だよ。結婚記念日のプレゼントにチャーリーからもらったんだ。

マディー
その前に、まず大事なことを聞かせて…チャーリーおじいちゃんは生きてるの？

ウルスラ
それは分からない…

マディー
大事なことなの！はっきり教えてよ！

ウルスラ
本当に分からないんだよ。お前のおじいちゃんはマフィアの潜入捜査の任務に就いてたのさ。

ウルスラ
やつらの尻尾を掴んで、組織を壊滅させるためにね…

ウルスラ
それ以来、私たちは追われる身になった。やつらは邸宅の秘密を知っているんだ…

ウルスラ
お前が知りたいのは百も承知だけど、この話はまた今度だよ。

ウルスラ
すでに潜入がばれているとしたら、チャーリーは捕らえられているかもしれないし、死を偽装してどこかに身を潜めているのかもしれない。

ウルスラ
でも何にせよ、チャーリーは理由があってそうしているはずなんだ。私たちのことを考えてね。

マディー
ちょっと頭の整理が追いつかないわ…おじいちゃんが生きていることは信じたいけど…

ウルスラ
もちろん私もさ。でも、だからこそサリバンに邪魔をさせるわけにはいかないんだよ。

マディー
そうね、ここまでやってきたんだもの。

マディー
おばあちゃん、話してくれてありがとう、そろそろ邸宅に戻ろうかな。

—邸宅に移動—

マディー
もっと慎重にならないと。でも、もうこれ以上脅しには屈しないわ。おばあちゃんが連れ去られるのは二度とごめんよ！

マディー
これで終わり…っと。

マディー
もうしばらく紙吹雪は見たくないわ！

マディー
この石造りの床、素敵な模様をしているわね。

マディー
ダンスフロアだったのかしら？

マディー
ステップを踏むたびに音が鳴って、なんだか気持ちいいわ！

マディー
かなり年季が入ってるわね！

マディー
でも針もターンテーブルも、まだ使えそうだわ。

マディー
これなら動くかも！

マディー
古き良きナンバーが揃ってるわね！

マディー
もしかしてこれ…ホープウェルベイが唯一生み出したヒット曲の音源じゃない？

マディー
後で聞いてみようかしら…

マディー
きゃあ！出た！

マディー
な、なんだ…

マディー
よく見たらただのマネキンじゃない！

マディー
でも気持ち悪いわ。なんでこんなところにマネキンがあるのかしら。

マディー
しかも箱入りで…

マディー
ここには秘密がまだまだありそうね…

マディー
ジャジャーン！ドレスアップ完了よ！

マディー
徐々に全貌が見えてきたわね…

マディー
このマネキンは執事ね。

マディー
こっちは身なりのいい紳士に見えるわ。

マディー
うーん…でも、どうも位置がしっくりこないわ。

マディー
何か仕掛けがある気がするのよね。

マディー
なんかこのマネキン、見覚えがあるような…

マディー
トレイを持ってるってことは…

マディー
もしかして執事なのかしら？

マディー
ドアがあるわ！これが出口に違いないわね！

マディー
でも、鍵がかかってる…

マディー
この部屋、一体どうなってるの！？

マディー
この絵画、とても精巧だけど、なんかボロボロね…

マディー
絵の才能はなくても、修復くらいならできるはずよ！

マディー
必要な道具と諦めない心さえあれば、何だってできるんだから…

執事
お会いできて何よりです、マディー様！実は、ご助力賜りたい問題がありまして…

マディー
一体何ですか、ウィンストンさん？

執事
私はウルスラ様より、「この邸宅の秘密は絶対に守れ。」と、強く申し付かっております。

執事
たとえ捜査の一環でも、サリバン刑事が邸宅を違法に監視することはないと、ウルスラ様は確信しておられますが…

執事
念には念を…慎重を期して万全の対策を整えるべきであるというのが、私個人の考えです。

執事
つきましては、ささやかな”罠”を仕掛け、サリバン刑事の捜査を遅らせたいのです。ぜひ、お力添えいただけないでしょうか？

マディー
あの刑事の捜査を妨害するんですね？そういうことなら、任せてください！

マディー
ウィンストンさん！あのソファーを、一人でここまで引きずってきたんですか！？

執事
ハァ、ハァ…そ…その通りです！盗聴器が…ないかを…確かめねばと…

マディー
言ってくれれば、私が見に行ったのに…

執事
ゼェ、ゼェ…い…言われて…みれば…

マディー
まあ、いいわ…私が調べてみますから、座って休んでいてください！

執事
マディー様…壁の穴を修復されたご経験は？

マディー
穴の修復なら、いつもやってますよ。

執事
しかし…普通の穴よりはるかに大きいのです。

マディー
どれくらい大きいんですか？

執事
ラフスが軽々と潜り抜けられるくらい…と言えば、ご想像がつくかと…

マディー
そんなに！？何をしたんですか、ウィンストンさん！？

執事
私としたことが、隠しカメラの捜索に夢中になり、少々やりすぎてしまいまして…

マディー
ウィンストンさん…こんなにたくさんの接着剤、何に使うつもりですか？

執事
ああ、これは…メイソン様からご助言をいただきまして…どんな侵入者も許さないセキュリティの専門家らしいので…

執事
ご教授いただいた防犯対策のほどんどは子供だましの代物でしたが、まったく収穫がなかったわけでもありません…

執事
子供の想像力は、時に侮れませんな。

マディー
でも…防犯対策に接着剤が必要なんですか？

執事
窓台に物を置くのは、しばらくお控えください…とだけお伝えしておきましょう。

マディー
邸宅の防犯対策は進んでいますか？

執事
順調でございます！

執事
作業が終われば、軍事要塞にも匹敵する強固なセキュリティが確保できるでしょう！

マディー
本当ですか？それは頼もしいですね！

執事
ええ。邸宅の当時の様子が目に浮かんできます…

マディー
邸宅の当時の様子って…どういう意味ですか？

執事
ゴホン…少々おしゃべりすぎましたな。作業に戻らねば…

執事
これで、作業はすべて終了…邸宅のセキュリティは万全でしょう。

マディー
おつかれさまでした！それで、何か見つかりましたか？

執事
やはり、監視用の機材がありました。使い古された機材と新品が混在していて、最近設置されたものかどうかは分かりかねますが。

マディー
つまり…警察の捜査が始まる前から、監視用の機材が邸宅にあったってこと？どうして！？

執事
この邸宅では、どんなに不可思議な事象でも起こりうる…お忘れですかな？

マディー
確かにそうですね。見つけていただき、ありがとうございます！

マディー
16ミリの映写機ね…

マディー
ってことはもしかしてここ、映画館としても使われていたのかしら？

マディー
ちょっと待って、変だわ…

マディー
強力なライトが内蔵されてるみたい！

マディー
うーん…あ、分かった！

マディー
マネキンのポーズに問題があるってことは…

マディー
映写機が映し出すマネキンの影と、後ろの絵画のポーズを一致させる必要があるんだわ！

マディー
そうと分かれば、後は正しいポーズに変えるだけよ！

マディー
今、執事のマネキンが持っているランプが赤く点滅したわ。

マディー
つまり、このマネキンのポーズは間違っているってことね。

マディー
今回のパズルは、なかなかおもしろいわね…

ロディ
やあマディー、調子はどうだい？

マディー
ロディ、実は今悩んでるところなの…

ロディ
一体どうしたのさ？

マディー
もうすぐでこの部屋の改装が終わるんだけど、出口が見つからないの！

ロディ
あそこのドアが出口じゃないのかい？

マディー
試したけど違ったわ。せっかくここまで来たのに、ドア無しじゃこれ以上前に進めない…

ロディ
マディー、前に進むばかりが人生じゃないよ。

ロディ
たまには一息ついて、その場に留まってみるのもいいもんさ。

マディー
ロディ、私今そんな気分じゃ…

ロディ
そうだ、いいこと思いついた！

ロディ
お嬢さん、ご一緒に踊りませんか？

マディー
ロディ、だから今そんな時間は…

ロディ
そうおっしゃらずに…

ロディ
それとももしや、踊りは苦手でしょうか？

マディー
そんなわけないじゃない！そっちこそ、私のステップについて来られるの？

マディー
ちょっと待ってロディ、あれ見て！

マディー
あそこの角から光が漏れているわ…

ロディ
さっき変なタイルを踏んだ時に、何かが起きたんだ！

マディー
そうみたいね！さっそく見てみましょう…

マディー
こんなところにドアが…！ロディ、あなたって天才ね！

ロディ
そ、そうかな？

マディー
ええ！だって一緒にダンスを踊らなかったら、絶対に見つけられなかったもの！

ロディ
も、もちろんそれが狙いだったのさ！天才の僕にかかれば…

マディー
アハハ、とにかくありがとう！次の部屋ではどんな仕掛けが待ってるのかしら？