音楽スタジオ

マディー
ここでどんな音楽が製作されてたのかしら？

マディー
誰が演奏してたのかも気になるわ！

マディー
きっと有名な音楽家に違いないわね！もしかしたら、あのヒット曲「ホープウェルベイに生まれて」の作者かも！

マディー
冷蔵庫の裏に部屋があるとはね…まんまとやられたわ。

ロディ
マディー、やっと見つけたよ…あれ？今、冷蔵庫の中に通ったような…それに、ここは？

マディー
そう、新しい隠し部屋よ。でもまさかこんな場所にあるなんてね！…ってロディ、驚きすぎじゃない？

ロディ
信じられない…この邸宅は、ずっと守られていたんだ！

マディー
守る？そうね、この邸宅は私が何としても…

ロディ
違う、州だよ！ずっと州によって守られてたんだ！

ロディ
マディー、よく聞いて。僕が見つけた書類が正しければ、この邸宅は歴史文化遺産なんだよ！

マディー
え！？ってことは…

ロディ
そう、ブルーノは取り壊すどころか、指一本触れることすらできないってわけさ！

マディー
嘘でしょ！？信じられないわ！

ロディ
でもまだ喜ぶにはちょっと早いかも。まずは書類の原本と設計図を見つけないと。どうやらどこかの誰かさんが”紛失”したみたいだからね。

マディー
ブルーノの仕業ね…

ロディ
可能性は高いね…でもまずは僕なりに探してみるよ。

ウィンストン
お待たせいたしました、マディー様。さては外の土木作業員のことですな？

マディー
その通りです！ブルーノの取り巻きが何を企んでいるのか、聞き出してもらえないですか？

ウィンストン
お安い御用です。

ロディ
じゃあ僕は町役場に戻って書類を探してみるね。

マディー
ねぇ、ロディ…

ロディ
どうしたんだい？

マディー
ロディはいつも私のことを気にかけてくれるよね。なのに私、まだちゃんとお礼を言えてなかったなとと思って…

ロディ
お礼なんてやめてくれよ、僕はただ…

マディー
言わないと私の気が済まないの。ありがとうロディ。初めて会った日から、あなたはいつだって私の味方でいてくれたわ。

ロディ
えっ、いや、だってそりゃ…

マディー
いつも私のことを信じてくれて、困ったときには手を差し伸べてくれて…こんな人ほかにいないわ！

ロディ
ぼ、僕は…

ロディ
あのねマディー、僕は君のことを…とっても素敵な人だなと思うんだ。

マディー
やめてよロディ、あなただってすごく素敵じゃない…

ロディ
フゥー…

ロディ
マディー、実はね、僕はずっと君のことが…

マディー
ピロリロリン

マディー
ちょっと待って、誰かからメッセージが来たみたい…え！？アーサーですって！？

マディー
「マディー、久しぶりだね。」

マディー
「まだ怒っているのは分かってるし、許してもらえないのは当然だ。でもこれだけは信じてほしい。あの時僕は、ああするしかなかったんだ。」

マディー
「時間を遡ってやり直すことができたら、どんなにいいことか…。」

マディー
「今でも、あの日のことを後悔しない日はない…でも、もうすぐすべてが変わるんだ。」

マディー
「また君に会えるのを楽しみにしているよ。その時は、もう悲しませたりしないから。アーサーより」

マディー
信じられない…

マディー
今になって連絡してくるなんて…

ロディ
それで、返信するつもりなのかい？

マディー
分からない…考える時間が必要だわ…

マディー
待って、そういえばさっきなんて言おうとしてたの？

ロディ
…そろそろ職場に戻らなくちゃ。

マディー
そっか…じゃあ、またあとでね…

マディー
古いポータルカセットプレーヤーを見つけたわ！

マディー
そういえば、昔はおばあちゃんの壊れたカセットプレーヤーをよく直してたっけ！

マディー
でもテープがすぐに絡まるのだけは直せなかったわ…

マディー
このデザイナーズチェア、見覚えがあるわ…確か70年代に流行った椅子だったっけ？

マディー
私好みではないけど、この部屋の雰囲気にはぴったりね！

マディー
ユリウスさんが同じものを持ってたりしないかしら？

マディー
これが彼のミックステープね！

マディー
あれ…？でも知ってる曲が一つもないわ。

マディー
もしかしたらこれ、全部未発表のデモ音源かしら！？

マディー
どんな曲かは聴いてみてからのお楽しみね。

マディー
これ、全部ヴィンテージものじゃない！

マディー
ちょっと待って、よく見たら音楽家のサイン付きのものまであるわ…

マディー
売ったら一体いくらになるのかしら…

マディー
うーん、まずはユリウスさんに連絡してみましょう。

マディー
きっと喜んで鑑定してくれるはずよ！

マディー
このスピーカー、すっごく高そう…

マディー
音質も最高ね。オーディオマニアのわたしが言うんだから間違いないわ。

マディー
孤高の音楽活動をしていた割には、ずいぶんたくさんの賞を取っていたのね…

マディー
え、ちょっと待って！

マディー
ベストドレッサー賞ですって！？

マディー
空き缶でライトを作るなんて、とってもオシャレね！

マディー
きっと缶詰工場の空き缶を使ったのね。

マディー
芸術家の発想力には敵わないわ！

マディー
額縁の中にサイン付きのスタジャンが飾られてるわ！

マディー
名前は読めないけど、きっと有名なアーティストなんでしょうね！

ウルスラ
あのヘルメットをかぶった連中は一体どいつなんだい？

ウルスラ
ロディが大群で押しかけてきたかと、危うく腰が抜けるところだったよ。

マディー
あの人達はブルーノの取り巻きよ…ウィンストンさんがうまく時間を稼いでくれるといいんだけど…

ウルスラ
それなら心配はいらないよ。時間稼ぎならウィンストンの専売特許さ。

マディー
よかった。それならきっと間に合うわね。

ウルスラ
間に合うって何の話だい？

マディー
そっか、おばあちゃんにはまだ言ってなかったわ！あのね、ロディがこの邸宅を救う方法を見つけてくれたの！

ウルスラ
そりゃたまげた！でも一体どうやって救うつもりなんだい？

マディー
さっき、この邸宅が州の歴史文化遺産だってことが判明してね。今ロディがそれを裏付ける書類を探してくれてるところなの。

ウルスラ
はっはっはっ、そうかい！私はいつもあいつのことを買っていたんだよ！

ウルスラ
大丈夫かい？顔が真っ青だよ…幽霊でも見たのかい？

マディー
そうかもしれないわ…実はさっき、アーサーから連絡があったの！

ウルスラ
なんだって！？それはよくないね。だって…

ウルスラ
あの男にはしっかりと伝えたはずだから…

マディー
伝えたって…何を？

ウルスラ
いや…なんでもないよ。勘違いしただけさ。きっと年のせいだろうねぇ…

マディー
そう…

マディー
おばあちゃん、この部屋の住人のことなんだけど…

マディー
どんな人だったか、知らない？

ウルスラ
ああ、”孤高の音楽家”のことだね。

ウルスラ
本名はエディーって言うんだ。遠い親戚なんだけど、かなりの変わり者でね！

ウルスラ
どこへ行っても、エディーの周りにファンが群がってね…しまいには、自分のスタジオにまで追っかけが来るようになってしまったんだ。

マディー
大スターだったのね…

ウルスラ
そうさ。でも、エディーはそんな毎日に嫌気がさして、この邸宅でこっそりレコーディングさせてくれないかって、私たちに頼み込んできたんだ。

ウルスラ
チャーリーと私は快諾したよ。空き部屋なら有り余ってたからね！

ウルスラ
うちに来た後も姿を見ることは少なかったけど、いつも美しい音色が鳴り響いてたものさ！

マディー
リノリウムの床だけはどうも好きになれないわ…

マディー
なんか安っぽくて、この邸宅には合わない気がしちゃうのよね…ウィンストンさんならきっと分かってくれるはずよ。

マディー
このギター、86年製のものだわ！

マディー
状態もすこぶるいいじゃない！

マディー
ちょうど新しいのが欲しかったの！前のギターは火事で燃えちゃったからね…

マディー
ここにある設備、どれも最高品質のものだわ！

マディー
でも、試作品のようにも見えるのは気のせいかしら…？

マディー
一体どこで手に入れたんだろう…

マディー
もしかして、自分で作ったのかな？

マディー
よし、これが最後の譜面ね！

マディー
これで譜面が散らばっていた理由がようやく分かってきたわ。

マディー
もし私が彼の立場でも、怒り心頭だもの。

マディー
うーん…譜面は少し汚れてるけど、まだ読めるわね。

マディー
私もピアノを習ってたけど、賞まで受賞した名曲を弾くことができるかしら…

マディー
このリズム…キャッチーでまさに80年代の音楽って感じね！

マディー
待って…ここのパート、エレキギターが必要なんじゃない？

マディー
よし、次にやることが決まったわ！あの素敵なギター弾いてみようっと！

マディー
でも、エディーはその後どうなったの？まだ音楽活動は続けてるの？

ウルスラ
可能性は低いだろうね。あんな事件があったんだもの…

ウルスラ
曲がヒットして突如大スターになったエディーは、レコードレーベルと契約することになったんだ。

ウルスラ
ところが彼はまだ決断しかねていた…にもかかわらず、レーベルの社長の口車に乗せられて契約にサインしてしまったんだ。

マディー
嫌な予感がするわ…

ウルスラ
そしてレーベルは、あろうことかエディーの創作活動にまで口を出すようになった。

ウルスラ
レーベルで4つの曲を作曲し、演奏する…それが契約の内容だった。

マディー
だから私が知らない曲ばかりだったのね！それからどうなったの？

ウルスラ
エディーは、最初のヒット曲に匹敵する曲をワザと作らなかったのさ。レーベルが発売できないようにね。

ウルスラ
それからエディーは音楽業界を去り、活動をキッパリやめてしまったんだ。

マディー
そんな…

マディー
「ホープウェルベイに生まれて」…ってこれ、もしかしてあのヒット曲のゴールドディスクじゃない？

マディー
作曲者の名前が消えかかってるわね。えーっと…あ！うっすら「エディー」って書いてあるのが見える！

マディー
それじゃ、エディーがそのレコードレーベルと契約してなかったら、今も音楽を続けてたかもしれないのよね…

マディー
本当にかわいそう…でも、私も似たような状況にいるのかも。

マディー
だから、ブルーノとヴィクトリアの取引には絶対に応じないわ。

マディー
応じたら、すべてを失うことになるもの。

ウルスラ
そうだね。人間は過去の失敗から学ぶ必要がある。連中の罠に気づいたおまえは偉いよ。

ウルスラ
こっちから下手に出ちゃだめだってことさ。

マディー
おばあちゃんの言う通りね。ありがとう！私、その言葉が聞きたかったんだわ。

マディー
アンプのことは詳しくないんだけど…

マディー
これをここに繋げるのかな？

マディー
ちゃんと動くといいな…

マディー
このアンプ…すごく複雑な構造をしているわね。

マディー
きっと高品質なものに違いないわ！

マディー
しかもカスタマイズまでされてるじゃない。

マディー
あれ？最大音量が11になってるわ。どうして切りよく10にしなかったのかしら？

マディー
ロディ、早かったわね！探していた文書は見つかった？

ロディ
それが、まだなんだ…古い建物に関する書類はてんでバラバラにしまってあってね。

ロディ
まるで、ワザとなんじゃないかって思うくらいだよ。町役場の職員は誰も相手にしてくれないし。

ロディ
僕も精一杯探してるけど、昔の書類はほとんど地下に放り込まれてるみたいでね…

ロディ
地下はとても暗いんだ…

ロディ
マディー、聞いてくれよ！邸宅の建設に従事した人物の親族に接触できたんだ！

ロディ
何か知ってそうな口ぶりだったけど、先にいくつか頼み事をされちゃってさ。

マディー
まずは、協力して恩を売るってわけね！

ロディ
頼み事をしているのはこっちだからね。でも必ず見返りがあるはずさ！

マディー
親族からの人から話は聞けた？

ロディ
苦労したけど、いい情報をつかんだよ！

ロディ
その人の高祖父は、邸宅建設時の現場監督だったんだ。

ロディ
古い図面や書類を見せてくれたんだけど、そこで一人の会計士の名前を見つけてね。

ロディ
その人物から詳しい話を聞けるかもしれない。邸宅に関する証拠を持ってるかは分からないけど…

マディー
もしかして、また恩を売る作戦？

ロディ
前回うまくいったからね！

ロディ
マディー、悪い報せだ…

マディー
どうしたの？

ロディ
実はね、会計士の情報を頼りに市役所を再調査することになったんだ。

ロディ
でも、書類が入ってるはずの箱を開けたら…中身が空っぽだったんだよ！

マディー
てっきり書類はあちこちに散乱してるのかと思ってたわ。最初と話が違うわね。

ロディ
そうなんだ。この箱だけは2重ロックで厳重に保管されてたんだよ！

ロディ
つまり、書類が盗まれたってことさ。これは犯罪だよ！

マディー
それで…これからどうするの？

ロディ
こうなったら、最後の手がかりを当たるしかない…僕が犠牲を払う必要があるけど。

マディー
あなたが犠牲を払うって…どういうこと？

ロディ
心配はいらないよ。旧友に会うだけさ。

マディー
アンプに繋げていないのに、まるで楽器の力が自分に乗り移ったみたいな気分だわ！

マディー
ステージの上のミュージシャンって、全員こんな感覚なのかしら？すごいわね！

マディー
音質もとってもクリアだわ。きっとカスタマイズされてるのね。

マディー
あの高級アンプに繋いだら、どんな音を奏でるんだろう…

マディー
この赤いボタン、私を呼んでる気がする。押してみようっと…

マディー
な、何が起きたの！？身体の震えが止まらないわ…それにホコリまみれになっちゃった！

マディー
あっ、扉が現れたわ！次の部屋に繋がっているのね！

マディー
出口が見つかったのはいいけど、ずいぶんと変わった仕掛けね…

マディー
まだ身体の震えが収まらないわね。あのアンプ、思ったよりずっと強力なのね。

マディー
私が調整を間違えただけかもしれないけど…

マディー
この醜態をエディーに見られなくて良かったわ。

マディー
さ、早く周りを片付けないと！

マディー
ふうっ、なかなか重い扉ね。一体何が隠されているのかしら…？

マディー
あら、電話だわ…

マディー
アーサーからじゃないといいけど…

マディー
もしもし…ああ、ウィンストンさん？今はちょっと忙しくてーー

マディー
何ですって？もう少しゆっくり話してください…

マディー
レオナルドさんとブルーノ町長が、どうしたんですか？

マディー
牧場に！？どうしてあの2人がそこへ！？

マディー
いつまでこの悪夢が続くわけ…

マディー
とにかく、今すぐ行きます！