ロマンスの聖地

マディー
なんて素敵な小屋なのかしら！今すぐあそこに登って、ゆっくりホンでも読みたい気分だわ！

ウルスラ
夜中にホラー小説を読むには最高の場所よ！

ウルスラ
それに昔はね、マイケルとベッキーの隠れ家でもあったの。

ウルスラ
マイケルは子供の頃、ここでベッキーと交換日記をしてたみたいなんだ。

ウルスラ
そして、時が経つにつれて恋が芽生えていったのさ。

ウルスラ
ある日、マイケルが日記に書いたことをきっかけにお宝探しが始まってね。最後には、ベッキーが婚約指輪を見つけることになるんだよ！

マディー
なんてロマンチックなの！2人はきっと良い関係だったのね。

ウルスラ
ま、そんな時代ばかりじゃなかったけど…

マディー
おばあちゃん！そんな悲しい顔をしてどうしたの…？

ウルスラ
ここはお前の両親が別れた場所だからね。

マディー
え…？！別れたってお父さんとお母さんが？いつの話！？

ウルスラ
心配いらないよ。お前が生まれるずっと前のことだからね。それでも、あの時は気持ちが沈んだものさ…

ウルスラ
お前の母さんがヨーロッパの名門大学に行くことになったんだ。

ウルスラ
それで、遠距離恋愛は無理だって話になってね。それが原因で別れたのさ。

マディー
なにも別れなくたってよかったのに…

ウルスラ
昔は今と違って、インターネットもテレビ電話もメールもなかったからね。仕方ないよ。

マディー
でも、何がきっかけでよりを戻したの？

マディー
ねえ、さっきの話だけど、お父さんとお母さんはどうやってよりを戻したのよ？

ウルスラ
おかしな話だけど、この像がキューピットだったのさ！

マディー
どういうこと？

ウルスラ
お前の母さんが大学2年生の時だったかしら…夏休みにこっちに戻ってきてね。

ウルスラ
ヨーロッパのおみやげに、小さな像をマイケルにあげたんだよ。

ウルスラ
そしたら、マイケルを見た瞬間、これまで押し殺してきた気持ちが爆発したみたいでね。像を落っことして、自らマイケルに口づけをしたんだ。

ウルスラ
像をよく見れば、接着剤でくっつけた場所が分かるはずだよ。

ウルスラ
結局ベッキーはその後、地元の大学に入りなおして、2人は元どおりの関係に戻ったってわけさ！

マディー
いい話ね！私も、何か両親の思い出があればいいのに…

ウルスラ
あのね、2人はたしかに愛し合ってたわ。でも、それ以上におまえのことを愛してたよ。

ウルスラ
私も久しぶりにここに来て良かったわ！

ウルスラ
おまえのおかげで、息子夫婦の良い時代を思い出すことができたもの！

マディー
色々話してくれてありがとう！でも、良い時代があるってことは、悪い時代もあるわけよね？

マディー
ねえ、どんなことがあったのか教えてくれない？

マディー
本当に知りたいのよ…

ウルスラ
私は、本当に話したくないの…

ウルスラ
なんだか急に、ホラー映画が見たくなってきたわ。それじゃあね！

マディー
おばあちゃんは話したくないんだろうけど、いつか必ず両親の間に起こったことを突き止めてみせるからね。